結城と先輩

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あたしは必死に公園まで走った。 勝手に足が動く。 先輩に会いたくなんかないのに 必死に走ってる。 あたしは公園に着くと、手を膝について息を切らせていた。 いた。 先輩は昨日と同じようにベンチに座っていた。 自然と足が動く。 気づけば あたしは先輩の目の前で止まっていた。 「千夏ちゃん?」 先輩の大きな目がパチリと動いた。 「先輩に聞きたい事があるんです」 「あたしに?」 あたしはコクリと頷いた。 勝手に口が動く。 言いたくないのに、勝手に言葉が出てくる。 「先輩は……いつから結城が好きなんですか?」 「え?」 先輩があたしを見て固まった。 それでも、あたしはめげずに先輩を見つめた。 「……小学生の時から」 「え?」 「あたしは、小学生の時から好きなの」 『小学生の頃から好きなんだ』 結城の言葉が頭によぎる。 なんだ それ。 結城と先輩は昔から両思いなんじゃん。 あたしの入り込む余地なんか 微塵もない。 .
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