結城と先輩

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目の前が真っ白。 こうなる事はわかってた。 わかってたはずなのに どうして止められなかった? 「じゃあ、どうして?」 「千夏ちゃん?」 「どうして彼氏なんか作ったわけ?」 口から出る言葉に戸惑う。 先輩が驚いてあたしを見た。 言いたく なかった。 聞きたく なかった。 嫉妬してる自分に嫌気がさして 最高に 気持ち悪い。 あたしは先輩の顔を見てられなくて下を向いた。 「あたしが彼氏を作ったのは 結城くんに相手にされない寂しさを紛らわすためだった」 え? 驚いて、うつむいていた顔を上げる。 「結城くんは、あたしの事なんか気にもとめてない。 そんな寂しさを、別の人で紛らわそうとした」 ああ。 わかってしまった。 この2人はすれ違ってるんだ。 お互いを大切に思うばっかりに すれ違って 傷ついて…… これで わかった。 結城があたしと付き合った理由。 結城も 先輩をあたしに求めただけだったんだ。 .
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