君の待つ海へ

夏休みは休めない

ようやく顔を出し始めた太陽が照らす海辺の町を心地良い潮風が吹き抜けていく

「夏輝～!はよ行こうぜ～!｣

家の外でサーフボードを片手にヒデが待ちきれず叫ぶ

「あ～、悪い悪い!すぐ行くわ～!｣

しばらくしてスラリと伸びた背に日焼けした青年が慌てて出てきた

「ん？夏輝また背ぇ伸びたん違うかぁ？｣

「もうこれ以上はええわぁ」

これから始まる高校生活最初の夏休みに心躍って自然と互いの歩みが早くなる

この坂を下ればそこは起きたての波が待つ最高の遊び場だ

「二人とも気をつけてね～｣

美津子がじゃれあう二人に急いで声を投げかける