いち

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    「佳月…って言うの…?」 「ん?名前?」 「うん…」 世話係なのにタメ口 煙草の匂いの染み付いた大きい手 綺麗な少しだけ掠れた低い声 笑えば八重歯を覗かせる 「佳月はみょーじ、名前は北斗、佳月北斗」 綺麗な金色が、また、揺れる お月さまと同じ金色の髪 八重歯を覗かせて笑う 優しい満月のような貴方は 秋人に抱き上げられてもまだ 貴方より小さい僕と目線を合わせて 王様を逃がした大きな手で無造作に頭を撫でてきた ごつごつした男の人らしい手が 大好きになった
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