いち

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初めて見るそれに 僕はただ見入る 「凄い…ね、角、おっきい…」 「だろ?烏が喜ぶと思って」 僕の手の平を歩くそれは 大きな角を揺らして その存在を主張する 取ってきた鷹はとても得意気 いつも僕の喜ぶ事を考えてくれてる鷹は大好き だけど、時々思うの どうして僕が鷹じゃなかったんだろうって 「後で逃がしてあげてね」 「なんでだよ、せっかく」 「狭いかごの中は 寂しいんだよ?」 自由な鷹を見ていると かごの中の自分はとても惨め 虫かごに戻されようとしていたカブトムシが 惨めな自分と重なって見えて ボク ハ イマ ドンナカオ ヲ シテ ワラッテルカナ
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