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「ほれ、飛んでった」
「あ…」
「佳月っ」
かごの中の虫が
入道雲の立ち込める
青い空に飛んでいく
虫の王様を逃がした手は
貴方の大きな手
鷹は怒って貴方を見上げる
「だって逃がすんだろ?」
「今逃がすことないだろっ」
悪びれる風もない貴方は
僕を見て目を細める
切れ長の目が細まると
すごく優しく見えて
その一瞬で僕は
貴方の虜
鷹の世話係は昔から入れ替わりが激しいから
貴方も直ぐ居なくなっちゃうのかなって
あの時の俺は寂しくなって
目を細めて笑う貴方の顔を
忘れないように
瞼の裏に焼き付けようと必死だった
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