暑さ時々かき氷

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「……暑いー」 「当たり前だろ、夏なんだから」 あまりの残暑の日差しの厳しさにダラける梨音にビシリと言って除けるのは生意気げな眼差しを向ける幼馴染みのツンデレ少年。 神城 悠斗。 「暑いものは暑いのー」 「……仕方ないヤツ」 「ふーんだ、別にイイもん。あ、ねぇねぇ、悠斗!」 「……何」 「確か台所の棚にーかき氷器あったよねー?」 「……だから?」 「へへー、かき氷!つくろ?」 「…………」 急に怒ったかのように拗ねたかと思えば次の瞬間には機嫌が元通りどころか寧ろ良くなっている。 「かき氷作ってー、縁側で悠斗と二人で食べるの!かき氷の美味しさで心身と共にスッキリ出来るわよ、どう?いい案でしょう?」 「……そうだね」 上機嫌でまくし立てる梨音に、そう半ば呆れ半分な言葉を口にする悠斗。 そんな悠斗の声を後に梨音は、かき氷器を目指し足早に台所へとダッシュしていったのだった。 数分後。 「持ってきたよー」 かき氷器と氷を容れた容器を手にした梨音は姿を表す。 「思ったより早かったね」 「そ?まぁ、コレが在る場所は解ってたしね」 先程、言葉の途中で去られた事への僅かな嫌みを受けるも特に気にもしない梨音は氷をガラガラと豪快に、かき氷器に移し。 「うっわ、コレ結構固いなー」 などと文句を口にしつつもグギギッと手に力を入れながら、かき氷器の取っ手をガリガリと回す。 そんな梨音に対し呆気にとられたように一瞬だけ目を丸くした悠斗だったが、まぁ梨音らしいなと結局は苦笑するように、その様を見守る事にした。 .
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