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「顔は洗ったか?ちゃんと母さんに挨拶はしたか?」
「わかってる、わかってる。今からやるよ」
父の言葉に気だるそうに答えながら、俊也はリビングをあとにした。
俊也は洗面所で顔を洗い、階段の左側にある和室へとむかった。
そこにある仏壇の前で、彼は、軽く正座をして両手を合わせた。
目の前の写真の中からは、美しい女性がこっちに向かってニッコリと微笑んでいる。
「おはよう、母さん。今日は特別な日なんだ。これで俺の未来が決まるかもしれないんだぜ。
大げさだと思ってるだろ?でも、それだけ大事なことなんだ。だから見守っててね」
こうやって、一日の始まりに母に語り掛けることは、今では俊也の週間になっていた。
そうすることで、母の存在を自分の中に感じ、いつでも自分を見てくれている気がしたからである。
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