第一章 一日の終わり

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 俊也の母、神野春奈(かみの はるな)は、まだ彼が小さい頃に重い病にかかり、他界した。 幼い彼にとっては、これほどショックなことはなかっただろう。 以来、彼は男手一つで育てられてきたため、母の愛情を知らなかった。 それでも俊也は、母が好きだった。 その証拠が、毎朝のこの御参りだといえるだろう。 俊也は、目を閉じ、母にもらったわずかなぬくもりを呼び覚まし、感じ、ニッコリと微笑んでリビングへとむかった。 朝食をすませた俊也は、学校へ行く準備をするため二階の自室へと戻った。  部屋に入るなり、俊也はあることに気が付いた。 ベットの近くにある、大切にしていた写真立ての脚が折れ、 中の写真を隠すようにして倒れていたのである。 その写真は、家族三人でとった最後の写真であった。
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