第一章 一日の終わり

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 放課後にでも新しい写真立てを買おう・・・と、心に決め、 彼はバックとスパイクの入った袋を持ち、部屋をあとにした・・・。  玄関の先、空の模様はどんよりとした灰色がひろがっている。 言葉で言い現わすのなら『不安』と、いう一言が最適だろう。 家を出た俊也は、学校にむかって歩き始めた。 俊也の学校は、徒歩20分前後でつく、ある道を通れば、さらに10分を短縮できる近さである。 その道は、今はあまり使われていない昔の国道である。 国道といっても、もう何年も前に立入禁止になった道路で、 いや、もはや道路と呼べるかどうか分からないほど荒れた道である。 今では、そこを通るのは度胸試しに高速で走り抜けるスピード狂か、道が分からず迷い込んでくる子羊のような車ぐらいだった。
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