第一章 一日の終わり

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「こんにちは、監督」  「ふむ、今日もみなさん元気のようですね。 練習がおわったあといったい何人がそうやっていられるか非常に気になりますね」 そういって、監督はイタズラっぽく笑った。それにつられて、みんなも笑った。 これもいつものことである。みんなの緊張を冗談でほぐすのは十八番である。 しかし、さすがに今日はこれ以上冗談をいうつもりはないらしく、すぐにマジメな顔になった。 「さて、今日は恒例のレギュラーテストの日です。みなさんもうご存知とは思いますが、これが今シーズン前最後のテストです。 一年生の諸君は自分の持つ力を十二分に発揮し、その手で栄光をつかみなさい。 二年生の諸君、あなた方はこれが最後のテストですね。これでレギュラーになれなかった者は、この部を去らなければなりません。 それがこの学校の掟です。 『武、足りなき者は文を学ぶべし』という言葉がモットーであるこの学校では仕方の無いことではありますが、 正直、いち指導者としては賛成しかねます。 しかし、掟は掟です。守らなければなりません。ですが、
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