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「じゃあな、とし。また明日からよろしくな、相棒」
「ああ、こっちこそよろしく頼むぜ、相棒」
帰り道の違う二人は、校門をでてから別れの挨拶を珍しくマジメにかわし、別々に帰りはじめる。
ふと、アキラは振り返り、思い出したかのように俊也にむかって声をかけた。
「そういや、とし」
「ん?」
「死ぬなよ」
「は?」
突然のことに驚いた俊也は、急いでアキラの方に振り返った。
と、そこにはいたずらに目を輝かせたアキラがこちらをニヤニヤとしながら見ていた。
「あ、驚いた?へへ、俺がそんなマジなこという面かよ?ジョークだよ」
そう言って、笑いこけながら帰路を走りはじめた。
「あばよー、とーしくんー」
「にゃろう・・結局かよ」
あまりの清々しさに怒る気にもなれず、俊也は半分呆れて、もう半分は微笑みながら歩き始めた。
帰り道、いつもはトレーニングのため走って帰るのだが、さすがに今日は休みたい。
とはいっても、もう空は完全に日が落ちてしまっている。
いくら夏が近いとはいえ、まだ寒さが残る5月。
早く家に帰りたいのが正直な話である。
そんなことを考えながら歩いていると、俊也はある場所までたどり着いた。
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