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『ブゥーーン』
後ろから何かの音が小さく聞こえてくる。
俊也は最初、とくに気にせず歩き続けていたが、次第に大きくなっていくその音を聞いて、奇妙に思い後ろを振り返った。
と、目に入ってきたのは闇ににつかない光の固まりであった。
「うわ、まぶしっ!」
驚いて思わず声をだした俊也は、光を閉ざすために目を閉じた・・。
『キキィィーー・・・ドンッッ!!』
鋭い咆哮のあと、鈍く重苦しい音が闇のなかに響き渡り、俊也の耳に届いた。
俊也は、外が気になり目をあけてみた。
が、そこにはもう暗い空はなかった。
両の目に見える満月。もう暗くはない。満月の光が闇をやさしく包み込んでいる・・。
と、同時に脚に違和感を感じる。そして、それは胴へ、腕へ、頭へと広がっていく。
体が軽い。まるで浮いているかのように・・いや、実際に浮いている。
が、まもなく地面に着地する。
俊也は、わけも分からずふざけて心の中でカウントをとってみる。
『3、2、1・・・』
『グシャッ!』
俊也は着地した。いや、地面に叩きつけられた。血が止まらない。
身体は重い。脚は動かない・・。
もう一度目を閉じてみて、彼はようやく現実に気付いた。
轢かれたのだと・・・。
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