第一章 一日の終わり

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  『ブゥーーン』  後ろから何かの音が小さく聞こえてくる。 俊也は最初、とくに気にせず歩き続けていたが、次第に大きくなっていくその音を聞いて、奇妙に思い後ろを振り返った。   と、目に入ってきたのは闇ににつかない光の固まりであった。 「うわ、まぶしっ!」  驚いて思わず声をだした俊也は、光を閉ざすために目を閉じた・・。  『キキィィーー・・・ドンッッ!!』  鋭い咆哮のあと、鈍く重苦しい音が闇のなかに響き渡り、俊也の耳に届いた。  俊也は、外が気になり目をあけてみた。 が、そこにはもう暗い空はなかった。  両の目に見える満月。もう暗くはない。満月の光が闇をやさしく包み込んでいる・・。  と、同時に脚に違和感を感じる。そして、それは胴へ、腕へ、頭へと広がっていく。  体が軽い。まるで浮いているかのように・・いや、実際に浮いている。 が、まもなく地面に着地する。 俊也は、わけも分からずふざけて心の中でカウントをとってみる。 『3、2、1・・・』 『グシャッ!』  俊也は着地した。いや、地面に叩きつけられた。血が止まらない。 身体は重い。脚は動かない・・。 もう一度目を閉じてみて、彼はようやく現実に気付いた。  轢かれたのだと・・・。
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