第二章 絶望のなかで

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『可哀想に、轢き逃げだったんですって。しかも警察が捕まえて調べたら、 かなりのお酒を飲んでたことがわかったらしいわよぉ。世のなか怖いものよねぇ』    ・・・真っ白な世界にかすかに響く話し声。 よく聞こうと耳を傾けると先程とは違う声が聞こえてきた。 女の子の・・今度ははっきりと届く声。 『いやあぁぁぁぁぁぁ!!』  「ハッ!!」   驚いて、かたく閉じていた目を見開いた。目に入るのは白い天井。 さっきまで見ていた世界と何一つ変わらない白。  耳に鳴り響くあの声を残し、まだ夢は覚めてはいないと認識する。 が、とたんに脚にはしる激痛で現実へと引き戻された。  ここはどこなのだろう・・・。 さっきの声は・・。このいたみはいったいなんなんだ・・・。  数々の疑問が浮かんでいくなか、一つだけ答えが分かるものがあった。それは、  「ああ、俺は生きているんだ・・・」     「気が付かれたんですね!具合はどうですか?」 「ワォ!」  
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