第一章 一日の終わり

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『ジリリリリリ・・・』   あらかじめ、タイマーをセットして置いた目覚まし時計が部屋中に鳴り響く。    ジリリ・・・ガシャン。  先程まで元気良く鳴り響いていた目覚まし時計は、鈍い音を立てて沈黙した。 それもそのはず、彼の上には少し大きめでゴツゴツとしたコブシが悠々と乗っている・・・ いや、正確には彼をおしつぶしていると表現したほうがいいだろう。 しかし、それでも主人を起こそうと、必死にもがく彼。 さすが、人を起こすことを生きがいとしている目覚まし時計なだけはある。 そんな彼の執着心に負け、コブシの主はようやく目を覚ましはじめた。  「うーん・・・もう朝かよ・・・」 非常にゆったりした口調での一言、聞いてるこちらが今にも眠りそうである。 そんな彼の声を聞いて、本日も達成感に包まれた目覚まし時計は、ゆっくりと眠りに堕ちた。
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