22人が本棚に入れています
本棚に追加
階段を下りて右にいくと、キッチンとリビングがある。
そこから聞こえる、包丁の規則正しいトン、トンという音が彼を迎えてくれた。
彼は、腹の虫を鳴らしながら、その音に足早に近づいていった。
「おはよう、父さん」
「よう、起きたか、俊也」
俊也の父は、がっちりとした体格で、とてもさわやかな顔をしている。
スポーツマンとは、かくあるべきであるといわんばかりの理想的な体つきと顔立ちだ。
その手に握られている包丁からは、美しいハーモニーが奏でられている。
父、神野良樹(かみの よしき)は今年で40歳になる。
そのわりには若く見え、まだまだ筋肉も衰えておらず、現役の運送屋兼スポーツインストラクターである。
最初のコメントを投稿しよう!