師匠。2 ‥師事‥

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冷や汗が出始めて、手が止まると先輩が 「オイ。俯けよ」 慌ててテーブルに目を落とした。 しばらくじっとしてると、ていうか動けないでいると視線の右端、テーブルのすぐ脇を白い足がすーっと通り過ぎた。 いきなり肩を叩かれて我に返った。 「見たか?」 リングの公開前だったが、のちに見ると高山が街で女の足を見るシーンがこれにそっくりだった。 僕が頷くと 「今のが店員の足が一人分多いっていう、このガ○トの怪談の出所。俺はまるまる見えるんだけどな。顔は見ない方が幸せだ」 なんなんだ、この人。 「早く食べろ。俺嫌われてるから」 俺もわりに幽霊は見る方なんだが、こいつはとんでもない人だとこの時自覚した。 そのあと空港へ向かう山道の謎の霧だとか、先輩お気に入りの山寺巡りなどに連れまわされて、朝方ようやく解放された。 以来俺はその先輩を師匠と仰ぐことになった。 それは師匠の謎の失踪まで続く。
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