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抱き上げ、背中をさすりながら
「どしたの?怖い夢でも見たか?」
と聞きますが、なかなか泣き止みません。
すぐ隣には麻衣の下の1歳になる弟の慎二も眠っている。
『こいつが起きてしまっては大変』
とちと焦りながら
「大丈夫。大丈夫」
と、とんとんと背中を叩きながら数分、ようやく落ち着いてきた娘が少し話し始めました。
「あのね。なんか白いお姉ちゃんがいたの」
「何処にいたの?」
「うーんとね。ベランダ」
「それで?」
「慎ちゃんの前がって言ってた」
「?・・・慎ちゃんの前がなんだって?」
「慎ちゃんの前って言ってたの!すごい怖かったの!」
慎ちゃんというのは麻衣の弟の事であろう。
それと家はマンションの3階に住んでいるのでもちろんベランダもある。
にしても、このぐらいの年の子の言葉は理解が難しい。
多少寝ぼけているとはいえ、その後いろいろ聞いてみたが要領は得なかった。
要約すると、家のベランダから白い(格好をした)女の人が、娘の麻衣に向かって
「慎ちゃんの前が・・・」
と言っていた。
それがとても怖い声だったということらしい。
とにかく
「そんな人はベランダに居ないし夢を見たんだろうから安心してお休み」
と娘を寝かしつけました。
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