火曜日の場合

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授業が始まると、前の席に座るヒナがウトウトとしだしました。 『寝不足か?』 後ろから肩をつついて小声で問い掛けます。 『昨日……ツキノちゃんが遅くまで起きてテレビ見てた…から……』 『なるほど』 ヒナとツキノは一つの体を共有している為、ツキノが夜更かしすると次の日ヒナが寝不足になるんです。 『うにゅ~』 変な声を出して、今にも意識は飛んでしまいそうです。 『お~い、水無瀬に怒られるぞ~?』 『うにゅにゅ~……』 駄目か……なら……。 俺はそっとヒナの耳元に近付きます。 『帰りに甘くて、おいしいものおごってやるぞ?』 そう囁くと、すぐに彼女は目をぱっちりと開けて、背筋を伸ばし、こちらを振り返りました。 ヒナは甘い物が大好きなのです。 『ホント!?』 『あ、あぁホントだよ。 っていうか授業中だから前向け、前!』 『絶対っ、絶対だよ!?』 念を押して聞いてきたのでしっかりと頷きます。 『放課後が楽しみだね♪』 物ですぐ釣れる可愛い奴なんです。
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