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『秋ちゃーん放課後だよぉ♪』
早ッ!?という言葉も掻き消されるくらいの“甘い物を早く食べたいオーラ”に気押されて、俺は直ぐ様立ち上がりました。
そして、今度は朝とは逆に俺がヒナに手を捕まれて引率されます。
『お嬢、また来週な!』
『ヒナちゃんばいばーい♪』
クラスメイトがヒナに手を振ります。
彼女もそれに応え、大きく手を振り返しました。
『お前ら!
俺には無いのか!?』
『別にお前とは毎日顔合わせてるし、する必要ねえだろ?』
俺の繊細で、ガラスのように透き通った心にヒビが入りました。
みんな酷い……。
『くっそぉ……ヒナ、帰るぞ!?』
教室の出口まで走っていき、少し八つ当り気味にヒナを呼びました。
『あー待ってよぉ!』
足早に学校を出て約束の為、商店街へ向かいます。
『よし、着いた!』
ヒナを連れて、甘くておいしいものがあるお店の前に立っています。
『うん、これがうまそうだな。
ヒナ、これで良いか?』
『秋ちゃん……ここ八百屋さんで、それにんじんで、ヒナお馬さんじゃないからそんなの食べないよ?』
『丁寧な説明ありがとう。
これはご褒美だ』
そう言ってヒナの手を差し出させ、にんじん、ピーマン、セロリを置いてやりました。
『ほら、甘くておいしいものだぞ?』
途端に彼女は頬を膨らませ、俺を睨みます。
そして野菜を押し返しました。
『秋ちゃん、ヒナが野菜大ッキライなの知ってるくせに!』
ポカポカと俺の胸を叩きます。
全く痛くは無いのですが『ごめんごめん』と笑って謝り、今度こそ本来の目的地に連れていきます。
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