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俺たちはファミレスに入りました。
ヒナは早速メニューを食い入るように見つめます。
『秋ちゃん決まった?』
『まだ』
もう決まっているのですが、少し意地悪をして短くそう答えました。
『…………………』
メニューを見ているフリをした俺を、彼女は熱心に見つめます。
ちょっと可哀相になってきたので『決めたよ』と言って店員さんを呼びました。
『ストロベリーパフェ!!』
ウェイトレスさんがやってくるなり、ヒナは叫びました。
少し驚いた様子でウェイトレスさんは復唱します。
どうやら、俺に焦らされたせいで我慢できないのでしょう。
『ホットコーヒーで』
俺がそう言うとヒナは『えっ』と口走りました。
『どうした?』
ウェイトレスさんが行った後、俺は彼女に問い掛けます。
『何でコーヒー……?』
『冬目前のこの時期に、パフェを食べる勇気は俺には無いからだよ』
『そうじゃなくて……』
『お待たせしました』
ヒナの言葉を遮るように、店員さんがコーヒーを持ってやってきました。
ブラックのまま、ゆっくりとすすります。
『飲むか?』
ヒナは強く首を横に振りました。
何だか不機嫌です。
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