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しかし、彼女はすぐに機嫌を直しました。
パフェが運ばれてきたからです。
テーブルに置かれたそれを嬉しそうに眺めた後、スプーンでてっぺんからすくって口に運びました。
『ん~♪』
幸せそうな声を上げました。
もう一回、さらにもう一回とすくい取って口へを続けます。
『甘い物もいいけど、野菜も食べなきゃダメだぞ?』
『大丈夫!マコトがいつも食べてるから心配ないよ?』
『ダメだ、毎日食べないと大きくなれないんだよ』
ヒナの顔が少し曇ります。
『うにゅ~…甘い物食べてるときに野菜の話しないで……』
『分かった。
食べた後ゆっくりとしてやる』
『……秋ちゃんのいじわるぅ』
可愛らしくてつい苛めたくなってしまいます。
『にしても、寒いのによくそんなの食べれるな?』
『そんなの気にならないよ?
秋ちゃんも食べる?』
スプーンを俺の方に向けて聞いてきます。
もしかして……あ~んしてくれるのか、と少しドキドキして頷きました。
ヒナはそれを見てパフェを少しすくい、俺の口の真ん前にまで持ってきます。
『はい、あ~んして?』
『あ~ん♪』
大きく口を開けます。
『やっぱりやーめた♪』
もう少しというところでスプーンは方向を変え、ヒナの口のなかに飛び込んでいきました。
やはりというかなんというか……
多少は予測していましたが、実際されるとキツいです。
『おいし♪』
『……ヒナ』
『秋ちゃん意地悪ばっかりするから仕返しだよ?』
俺としたことが一杯食わされました。
しかも、こんなありきたりな手で……。
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