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キーンコーンカーンコーン
『やっべぇ、予鈴鳴っちまった……スピード上げるぞ!?』
『えっこれ以上無理だよぅ……』
限界を訴えるヒナ。
しかし遅刻するわけにはいきません。
仕方なく俺は、彼女を背負い上げ、そして全速力で走りだしました。
『わぁ……もっとスピード上げて♪』
『よおし、しっかり捕まってろよ!?』
風を切るように走ります。
音速から光速へ……そして閉まりかける校門を通り抜けました。
『セーーッフ!!』
教室に入ると同時に叫びました。
当然クラスメイトの視線はこちらに釘づけです。
『今日もお前ら仲良いな?』
あっ……ヒナ降ろすの忘れてた。
クラスの男子はその様子を見て笑います。
『まぁ今日は火曜日だからな』
ヒナをゆっくりと背中から降ろして言いました。
『なんだ、今日はお嬢か……』
お嬢というのはヒナのあだ名です。
確かヒナが執事(俺)に世話されっぱなしのお嬢様のようだ、とクラスメイトの一人が言い出したのが由来だそうです。
ぴったりなあだ名だと思いますが、俺が執事でヒナだけがお嬢様っていうのは納得いきません。
俺にも、もっと知的で格好良いあだ名を付けてほしいものです……。
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