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最近では希少になった女で、大陸最強の剣士、オマケに抜群の美貌とスタイルを誇る、そして下ネタが苦手、それがモナだ。
ちなみに、イケメンでいつも落ち着いたオールマイティーな魔術士、それが俺だ。
うん、人生で今まで彼女が一人くらいしか出来なかったのは、魔王が他の女を皆拉致したからだ。
うん、決して俺の容姿や性格に問題があるわけじゃない。
魔王、許すまじ!
「くっ、貴様の下品なネタに付き合っている暇はない。 もう日が暮れる。 さっさと飯を取ってくるぞ」
モナはずんずんと足音を立てながら、近くの森へと入っていく。
そんな風に怒っていることをアピールしなくても、俺にはモナが苛立っているのはわかる。
「しかし、折角報酬を貰ったのに野宿なんてな」
「馬鹿者、この報酬は私の武器を整備するために使うんだ」
「毎度のことだが、たまには俺の杖にも……」
モナは、旅を始めた頃から決まって、報酬を全額自分の武器代に投じていた。 もちろん俺も不満の一つや二つを愚痴るが
「先ほどの戦闘、貴様は何匹の悪魔を殺った?」
これだ、これを言われると何も言えない。
「所詮、後衛の貧弱な魔術士など、桧の棒でも振り回していればいいのだ。 私のような前衛の装備は、つねに整備しなければならないがな」
傍若無人な物言い、俺は全ての後衛魔術士たちの名誉のために反論しよう。
「お前、縁の下の力持ちという言葉を知らないのか。 確かに倒した悪魔の数はモナの方が多かったかもしれないが、俺のサポートがなければ、あんなにスムーズにもいかなかっただろ!?」
よく言った、俺!
「まぁ、確かにそうだな」
珍しい、モナが俺の言葉に首を縦に降った。
「だが、貴様に金を渡したところで、卑猥な本を買うだけだろう」
コイツ、知ってたのか。
「貴様が光魔法の書物と言って買ったあの本……あんな淫らな……分子の細かさまで引き裂いてやったわ!」
「ちょっ、何してくれんだよ! 今じゃ女が希少だから、モデルだってなぁ」
「たわけ!」
顔を赤らめながらも、言語道断な雰囲気のモナ。 だが、ここは光の書物の仇をなんとしても打ちたいところだ。
「モナ、光の書物に書かれていた禁断の魔法を使わせて貰う」
「勝手にしろ」
なら、勝手にさせてもらおう。
「超上級光魔法、生命の神秘生まれでる命!」
が、発動する前に、モナの拳が俺を沈めた。
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