前編◆情けない男と逞しい女

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 最近では希少になった女で、大陸最強の剣士、オマケに抜群の美貌とスタイルを誇る、そして下ネタが苦手、それがモナだ。  ちなみに、イケメンでいつも落ち着いたオールマイティーな魔術士、それが俺だ。  うん、人生で今まで彼女が一人くらいしか出来なかったのは、魔王が他の女を皆拉致したからだ。  うん、決して俺の容姿や性格に問題があるわけじゃない。  魔王、許すまじ! 「くっ、貴様の下品なネタに付き合っている暇はない。 もう日が暮れる。 さっさと飯を取ってくるぞ」  モナはずんずんと足音を立てながら、近くの森へと入っていく。  そんな風に怒っていることをアピールしなくても、俺にはモナが苛立っているのはわかる。 「しかし、折角報酬を貰ったのに野宿なんてな」 「馬鹿者、この報酬は私の武器を整備するために使うんだ」 「毎度のことだが、たまには俺の杖にも……」  モナは、旅を始めた頃から決まって、報酬を全額自分の武器代に投じていた。 もちろん俺も不満の一つや二つを愚痴るが 「先ほどの戦闘、貴様は何匹の悪魔を殺った?」  これだ、これを言われると何も言えない。 「所詮、後衛の貧弱な魔術士など、桧の棒でも振り回していればいいのだ。 私のような前衛の装備は、つねに整備しなければならないがな」  傍若無人な物言い、俺は全ての後衛魔術士たちの名誉のために反論しよう。 「お前、縁の下の力持ちという言葉を知らないのか。 確かに倒した悪魔の数はモナの方が多かったかもしれないが、俺のサポートがなければ、あんなにスムーズにもいかなかっただろ!?」  よく言った、俺! 「まぁ、確かにそうだな」  珍しい、モナが俺の言葉に首を縦に降った。 「だが、貴様に金を渡したところで、卑猥な本を買うだけだろう」  コイツ、知ってたのか。 「貴様が光魔法の書物と言って買ったあの本……あんな淫らな……分子の細かさまで引き裂いてやったわ!」 「ちょっ、何してくれんだよ! 今じゃ女が希少だから、モデルだってなぁ」 「たわけ!」  顔を赤らめながらも、言語道断な雰囲気のモナ。 だが、ここは光の書物の仇をなんとしても打ちたいところだ。 「モナ、光の書物に書かれていた禁断の魔法を使わせて貰う」 「勝手にしろ」  なら、勝手にさせてもらおう。 「超上級光魔法、生命の神秘生まれでる命!」  が、発動する前に、モナの拳が俺を沈めた。
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