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「と、とにかく逃げよう」
「全く、貴様は学習しない奴だ」
俺とモナは木々が燃える森の中を疾走。
ぱちぱちと音を立てて燃える枝や、炎にあわてふためく野生動物なんかが視界に入る。
が、気にしている余裕はない。
すぐに森を抜け出した俺達は、舗装された大きな道に出た。
「ふぅ、危なかった……」
「全て貴様のせいだ」
モナの怒りはまだ静まっていないようだ。
ふと、兜を外したモナの顔を見ると、大粒の汗が沢山浮かんでいた。
ただでさえ、あの大剣を背負っているのに、さらに重量のある鎧を着て、あれだけ走ったのだから当然だろう。
「仕方ない、今夜はここで野宿しよう」
「食事は抜きか……」
「さっきも虫の悪魔を晩飯にするとか言ってたけど、そんなに腹が減ってるのか?」
「ふん、貴様のような後衛魔術士にはわからんだろうが、肉体強化系の魔法は魔力以外にも、蛋白質などのエネルギーを消費し、使用後には強烈な飢餓感が襲ってくるのだ」
そう言いながら、モナは近くにあった石に腰を下ろすと、鎧を脱ぎ始める。
鎧の下からは、質素な布の服が汗に濡れて透けていた。
「私はもう寝るぞ……ん? どうした」
「え、いやいや別に何も」
モナは俺に怪訝な顔を向けている。
ふと、モナは俺の視線を辿る。
辿り着いた先は、自分の胸だった。
俺は、モナの無駄に美しく大きな胸を包む下着が、汗で透けて見えているので凝視していたのだ。
全く、けしからん胸だ!
「モナ、真面目な話がしたい」
俺は、全てを見透かすような真剣な目で、モナと目を合わせる。
急に異様な雰囲気を纏った俺に、モナの表情も引き締まる。
「前から、思っていた」
「なんだ」
「その胸を、一度でいいから揉ませてくれないか」
「その首を、落とさせてくれるのならかまわんよ」
モナの目がギラリと鋭く煌めく。
モナは、胸のことを気にしているらしく、それを言われると本気で怒る。
「マジ、やったぁ~」
でも、俺は首が落ちるのを覚悟で飛び込みま~す。
男は命よりもおっぱいを取れと、俺の師匠もおっしゃっておりました。
「肉の一辺、骨の一欠片、血の一滴残さず消滅しろ!」
石に座ったまま繰り出される強力な蹴りが、俺の顔面にヒット。
鼻は折れる寸前、唇は血を吹き出し、口の中は血の味が広がる。
あぁ、俺のイケメンフェイスがモナに破壊された。
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