第一章 もう一つの恋

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  「……接点が出来る前?」  その言葉が気になり、陽耶に視線を向ける。 「俺らが出会ったのって、かなり前なんだよ」 「え? あの、若山がうちらをわざわざかりだした日じゃないのか?」  入学して間もない日、あの英語教師である若山徹(わかやまとおる)が、私と葵と郁奈を呼び出し、裏庭の掃除をさせた。  なんでこんなことしなきゃならないんだと思っていたら、また二人、そこに連れてこられた生徒がいた。  それが陽耶と蓮だった。 「お前たちはな、校則を破った罰を受けるのだ。はっはっは」 「先生、私、破ってません」  葵が突っ込むと、咳払いをして冗談だよと言った。 「お前たちにはこれから、私の専属パシリになってもらう」  若山は悪びれる様子もなく、そう言う。 「なにそれ」  私たちがブーイングを浴びせると、いやいやと苦笑しながら私たちを宥める。 「その代わり、俺の授業は出なくてもいいからさ、ね」  若山は手を顔の前で合わせ、お願いと言った。  整った顔に似合わず、おもしろいことをする教師だなという印象がある。  実際は、そうパシリの扱いをされることもなく、授業はたまにサボるが、なにも言ってこない。結局、若山の考えはわからなかったが、私たちはある意味では感謝している。  五人が出会えたのは、その集まりのお陰だと思っていたから。 「実は、あの招集は俺が頼んだんだ」 「どういうことだよ」 「俺小学校時代から、悠輝のこと知ってたんだ」 「え? 嘘!?」  信じられなかった。私に陽耶の記憶はない。 「嘘じゃないよ。丁度小学生のころ、俺が入院してたのは知ってるだろ? その病院が、白翼病院なんだよ」 「白翼!?」  白翼病院と言えば、私が通っていた小学校に隣接している病院だ。定期健康診断なんかも、学校でではなくその病院に行っていたほどだ。  白翼病院はかなり有名で、大きな総合大学病院でもあるため、私はかなり印象深かったのを覚えている。 「そこでうちを見かけたの?」 「そう」  陽耶は軽くうなずく。  
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