第一章 もう一つの恋

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   知らなかった……陽耶が入院してたのは、毎晩の語らいで聞いていたが、それがあの白翼病院だったなんて。  しかもそのころから、私のことを知っていたなんて。誰が予想しただろう。 「どうしたらいいんだよ」  私はつい、そう言ってしまった。 「どうしたらいいってなんだよ。悠輝はどうしたいんだよ。俺のこと、好いてくれるのか?」  そりゃあ好きだ。陽耶は、友達として好き。でも、陽耶は私を女として好きなのか? 「そりゃあ好きだよ。友達だから」  私は本音を言う。今さら、隠す必要なんかない。 「友達か……そうだよな」  陽耶は若干俯く。 「友達じゃだめなのか? 今のままじゃ、だめなのか?」  少し陽耶が、困ったような表情になるのがわかった。 「悠輝は」  陽耶が俯き加減で話す。 「悠輝は、葵と友達でいいと思えるのか?」  そうだ……そうだ。  私が葵を本気で好きなように、陽耶は私を本気で好きなんだ。  私は葵との関係が、友達のままでいいと思えない。それは、なぜなんだ?  その陽耶の言葉に衝撃を受け、そしてまた、悩むことになった。    陽耶は私の困惑した表情に「悪い、悠輝を責めるつもりはないんだ」と謝ってきた。 「いや、こっちこそごめん」  私も謝ることしかできない。  だってこんな状況のときでさえ、私は葵のことを考えている。  それが許せなかった。  
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