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知らなかった……陽耶が入院してたのは、毎晩の語らいで聞いていたが、それがあの白翼病院だったなんて。
しかもそのころから、私のことを知っていたなんて。誰が予想しただろう。
「どうしたらいいんだよ」
私はつい、そう言ってしまった。
「どうしたらいいってなんだよ。悠輝はどうしたいんだよ。俺のこと、好いてくれるのか?」
そりゃあ好きだ。陽耶は、友達として好き。でも、陽耶は私を女として好きなのか?
「そりゃあ好きだよ。友達だから」
私は本音を言う。今さら、隠す必要なんかない。
「友達か……そうだよな」
陽耶は若干俯く。
「友達じゃだめなのか? 今のままじゃ、だめなのか?」
少し陽耶が、困ったような表情になるのがわかった。
「悠輝は」
陽耶が俯き加減で話す。
「悠輝は、葵と友達でいいと思えるのか?」
そうだ……そうだ。
私が葵を本気で好きなように、陽耶は私を本気で好きなんだ。
私は葵との関係が、友達のままでいいと思えない。それは、なぜなんだ?
その陽耶の言葉に衝撃を受け、そしてまた、悩むことになった。
陽耶は私の困惑した表情に「悪い、悠輝を責めるつもりはないんだ」と謝ってきた。
「いや、こっちこそごめん」
私も謝ることしかできない。
だってこんな状況のときでさえ、私は葵のことを考えている。
それが許せなかった。
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