プロローグ

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栄史はいる。 俺の中にいる。 思い出せば心は暖まるし 顔は緩んだ。 誰にも見せる事のない笑顔は栄史の為にある。 何時でも近くにいるんだと…… それが生きる原動力になっていた。 そんな俺が、夜気分で街をふらついた。 組の親だから危ないと部下達に言われたが無視。 ついて来たら指積めだと睨めば黙る。 俺の身を心から心配してる奴なんざいない。 俺の身より自分の指。 簡単な方程式。 所詮は自分が一番だ。 癖になってる眉間を更に深くさせ自傷気味に笑った。 ――トンッ 「あっわぁごめんなさいっ!!」 軽く何かにぶつかった。 肘辺りだ… 見下ろせば小さな…男…? 「スミマセン、フラフラしちゃって…ι」 見上げる男、身長的に…170…もないな。 その為か一生懸命見上げては頭を下げていた。 「……気を付けろ。」 小さく言ったあと軽く頭を撫でその場を後にする。 見覚えが有った気はするが…… コンビニの店員か……? 「あのっ!!本当にスミマ…っ」 背中から聞こえた声に振り返った途端、男は倒れていた。 「…………は…?」 周りがざわめき、取り囲む。 そんな余裕が有るなら救急車でも呼んでやれよ、野次馬共 少し苛つきながらも近寄り抱き上げた。 ……軽い…… そして熱かった。 フラフラしてた理由は熱らしい。 仕方無く俺は迎えを呼び家にその男を持ち帰った。  
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