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『お姉ちゃん! 今下で見てきた! 猿みたいに可愛い赤ちゃん』
興奮してる様子の志帆が病室に入ってきた。
『ちょっと志帆、失礼ね。猿じゃないわよ』
『へへっ、こりゃ失礼。……あ、お久しぶりです』
川嶋の両親に気付き志帆は慌てて挨拶をする。
志帆に遅れて父が入ってきた。病院まで志帆と一緒に来た父は、まだ下で赤ちゃんを見ていたらしい。
『いや~、お互いにジジ、ババになりましたね』
『もう可愛くて、孫ってこんなに可愛いんですね』
川嶋の両親とアタシの両親は揃ってまた病室を出ていった。
子供を産むという事がこんなにも大変な事だと、自分が産んで初めて知った。
間隔を置いて襲ってくる痛み。それに堪え続けた者に与えられる喜び。
あの人もアタシや志帆を産んだ時これを経験しているんだと思うと、素直に産んでくれた事に対する感謝の気持ちがあった。
それと同時に、子供を産んだ事のない母が、アタシ達の母親としてたくさんの愛情をかけて育ててくれた事にも頭の下がる思いだった。
生まれたばかりの我が子を見た時、この子を幸せにしてあげたい、この子の幸せがアタシの一番の願いになった。
父の気持ちが少し理解出来るアタシがいる。
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