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アタシも四年生になり、祖母に習って洗濯機の使い方や、料理といっても卵焼きやみそ汁、簡単なものを教えてもらい作るようになっていた。
少しでも父を助けたかったから。
その冬に父から紹介された人がいた。
現在のアタシの母だ。
『山口さんていうんだ』
『初めまして。山口美紀です。麻美ちゃんと志帆ちゃんね? お父さんから沢山二人の話を聞いているのよ』
『こんにちは』
アタシは緊張していた。
これって、父のお嫁さんになるって事?
それとも父のお友達?
四人で食事をした。妹ははしゃいで幼稚園での話をしている。
山口さんはニコニコして話を聞いていて、その様子を見て父も嬉しそう。
アタシは緊張が解けずあまり会話に参加できなかった。
山口さんが帰って、アタシも妹も寝る準備をしていた。
『麻美、志帆、パパな、山口さんと結婚しようと思うんだ。お前達にも母親が必要だと思う。どうだろう?』
『わあーい! 志帆にママが出来るぅ!』
『麻美はどう思う? 山口さん嫌か?』
『パパがいいならアタシもいいよ』
『そうか』
父が笑顔になった。
正直アタシは戸惑っていた。今日初めて会ったお姉さんが母親としてうちに来る。
嫌かどうかなんて分からない。
今日一回しか会ってないのに、いつから一緒に暮らすの?
優しそうなお姉さんだった。でもまだお姉さんの事よく知らない……。
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