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アタシが小学二年生、そう七才の時。
朝起きたら母の姿が無かった。
『ママ?』
声をかけたが返事はない。
父は出張で帰ってきていなくて、家にはアタシと妹の志帆の二人だけ。
買い物に行ったのかと思っていた。
志帆が起きてきて、ぐずるから抱いてあげた。
どこまで買い物に行ったんだろ?
母の帰ってくる気配のない事に不安になり、祖母に電話をするとすぐに来てくれた。
祖母は何も食べていないアタシ達に食事をさせて、どこかに電話してたのを覚えている。
『いないのよ……そう…………服を持ってってるみたいだわ。無いもの……。隆は出張だって麻美が…………うん、うん』
七才のアタシにも、何か大変な事が起きてるっていう事は分かった。
ママ、どうしたの?
聞きたいのに聞いちゃいけない気がして、黙っていた。
志帆が「ママ」と泣くと、祖母が「もうすぐ帰ってくるからね」と言う、その言葉が本当なのか不安だった。
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