別 れ

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  翌朝起きると、祖母がいた。朝食の準備をしている。     『あら麻美、目が覚めたのかい? お腹すいたでしょ。ご飯食べようか?』   『うん』   『お! 麻美早いな。ああ、学校だもんな』     そう声を掛けてくる父はいつもより明るく感じた。   『麻美、学校終わったらおばあちゃんの家に行きなさい。パパ仕事が終わったら迎えに行くから』    近所に住む祖母がアタシ達の世話をする事になったようだ。     『うん』     そう返事をして用意されたご飯を食べた。     いつもなら、ここに母の姿が……あれ? いない時もあったような……。     違う。いたんだ。酒臭い息を吐いてソファで転がっていた。     父が出張でいない時は、いつもお酒の臭いがした。     これからどうなるんだろう?     父は仕事があるから、このまま祖母がアタシ達の世話をするんだろうか?     七才のアタシはぼんやりと考えていた。    
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