別 れ

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  母が出て行ってから、学校が終わると祖母の家に帰る。   自宅から歩いて十分のとこだから、特別な事はなかった。     友達とも遊んだ。     夜になると、父が迎えに来て一緒にご飯を食べてから自宅に帰る生活をしていた。     アタシに対して父からも祖母からも、家を出た母の事についてなんの説明もない。     子供だから言わない方がいいという事なのだろう。   ただ、まったく状況を理解出来ていない妹が母を恋しがり泣く時には、      『ママはね、用事でお出かけしてるから、お利口さんにして待ってようねぇ』     祖母がそう言って宥めていた。     ホントの事が知りたい。     でも聞いちゃいけない。     アタシの心は一杯だった。       その日も学校から帰ってきてから、友達と遊んだ。   天気のいい日で、かなり長い時間を外で遊んでいたアタシは、夕焼けを眺めながら祖母の家に向かった。     その時、アタシに声を掛けてきた人がいた。    
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