第一章

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 狭くて暗い裏路地を抜け、車が走っている大通りを横切ったりして、どこかの野球ドームのような建物に着いた。    拓が学校へ行くときの通学路とはだいぶ離れていて、今日初めてこの建物を見る。    あまりの大きさに「成る程、小太郎が興味を持つわけだ」と納得してしまう。   「ところで小太郎」 「ん?」 「ワールドオンラインってなんなんだ?」    拓はワールドオンラインのことを全く知らない。    ここへ向かう途中になにか説明をしてくれるのかと思っていたが、一切の説明が無い。    いくら信用しているとはいえ、さすがに不安にもなる。   「俺が知ってるのは……ゲームの中に入るゲームってことだけかな」    不安が、さらに不安を呼んだ。    ゲームの中に入るゲーム?そんなのは漫画やアニメの世界だろう?と、拓は頭を巡らせる。    一体どうやってゲームの中に入るのか。もし入れたとしたら、戻って来れるのか。モンスターにやられたりしないのか。それとも、小太郎がただ冗談を言っているだけなの か。   「そんなことがあったら世界中で話題沸騰だろう」    結局、冗談だろうと拓は思った。    まだ世界は騒いではいない。    予想外の反応だったのか、小太郎は目を点にした。    何を驚いているのか、と思っていると、小太郎の顔がだんだんと優越感の浸ったものになっていく。
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