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狭くて暗い裏路地を抜け、車が走っている大通りを横切ったりして、どこかの野球ドームのような建物に着いた。
拓が学校へ行くときの通学路とはだいぶ離れていて、今日初めてこの建物を見る。
あまりの大きさに「成る程、小太郎が興味を持つわけだ」と納得してしまう。
「ところで小太郎」
「ん?」
「ワールドオンラインってなんなんだ?」
拓はワールドオンラインのことを全く知らない。
ここへ向かう途中になにか説明をしてくれるのかと思っていたが、一切の説明が無い。
いくら信用しているとはいえ、さすがに不安にもなる。
「俺が知ってるのは……ゲームの中に入るゲームってことだけかな」
不安が、さらに不安を呼んだ。
ゲームの中に入るゲーム?そんなのは漫画やアニメの世界だろう?と、拓は頭を巡らせる。
一体どうやってゲームの中に入るのか。もし入れたとしたら、戻って来れるのか。モンスターにやられたりしないのか。それとも、小太郎がただ冗談を言っているだけなの
か。
「そんなことがあったら世界中で話題沸騰だろう」
結局、冗談だろうと拓は思った。
まだ世界は騒いではいない。
予想外の反応だったのか、小太郎は目を点にした。
何を驚いているのか、と思っていると、小太郎の顔がだんだんと優越感の浸ったものになっていく。
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