双生児

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私には、双子の妹がいる。 私達姉妹は、 不思議な糸で結ばれている。 呪われた、糸だ。 双子というと、 喜びも悲しみも 共有するもののように 思うかも知れない。 しかし、私達はその正反対。 決して、二人揃って 幸せにはなれないのだ。 例えば、 私が100円を拾えば その頃妹は100円を 落としている。 片方がクラスで目立てば、 もう片方がイジメられる。 全てが、その調子。 そして、いつからか私達は 進んで幸せを望まなくなった。 人との関わりを避け、 極力外出も避けた。 私には妹だけが、 妹には私だけが、 心の支えだった。 ──ある、昼休み。 いつものように、 二人しかいない屋上で お弁当を食べていた。 食べ終わり、 お茶を飲んでいると 「お姉ちゃん……コレ」 見ると、 妹が手紙を差し出していた。 それにはこう書かれていた。 ──────────── お姉ちゃんへ ごめん! こんな関係、 もう疲れちゃいました。 神様、お願いだから お姉ちゃんを 幸せにしてあげて下さい。        妹より ──────────── 顔を上げると、 金網の前に靴が置いてあった。 駆け寄り、地面を見下ろすと カーペットのシミのような 赤くて黒い、点が見えた。 私は金網に背中を預けた。 そして、笑った。 私は、呪いから 解放されたのだ! やっと自分の 過ごしたいように 生活出来るのだ! まるで、 鳥になったような 心持ちだった。 ──ガシャン── 私の体は支えを失い、 眼前には空が広がった。 ……えっ? 風と、破れた金網が 私の体を纏っている。 ああ…そうか…… 堕ちて 薄れゆく意識の中、 私は悟った。 妹は、私の事を 本当に 愛していたのだと。 私の幸せが、 何よりの 幸せだったのだと。  
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