0人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「チヒロ、チヒロ…」
―――誰だろう?
私を呼ぶ懐かしい声。
「チヒロ、早く気付いて?」
「ん…夢‥?」
私はフワフワした感覚の中、ゆっくりと目を開いた。
「え…?ライヤ?」
私の側には、もう二度と会えない人が居て。
ライヤ。
私がチヒロになる前の時代に出会った人。
「チヒロ、夢の世界で漸く会えたね」
「…‥ライヤ…!」
私は小さな子供の様に、声をあげて泣いた。
「チヒロ、僕はまだ夢の中でしか君に会えないけど、必ず現実の世界で会いに行くから」
私は泣きながらウンウンと何度も何度も頷いた。
何時かきっと会える。
その言葉を信じて、私は目覚める。
―――夢の世界での出来事故に、彼女が覚えている事はないけれど…―――
最初のコメントを投稿しよう!