『夢だから』

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「チヒロ、チヒロ…」 ―――誰だろう? 私を呼ぶ懐かしい声。 「チヒロ、早く気付いて?」 「ん…夢‥?」 私はフワフワした感覚の中、ゆっくりと目を開いた。 「え…?ライヤ?」 私の側には、もう二度と会えない人が居て。 ライヤ。 私がチヒロになる前の時代に出会った人。 「チヒロ、夢の世界で漸く会えたね」 「…‥ライヤ…!」 私は小さな子供の様に、声をあげて泣いた。 「チヒロ、僕はまだ夢の中でしか君に会えないけど、必ず現実の世界で会いに行くから」 私は泣きながらウンウンと何度も何度も頷いた。 何時かきっと会える。 その言葉を信じて、私は目覚める。 ―――夢の世界での出来事故に、彼女が覚えている事はないけれど…―――
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