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500年戦争のときに大地を蹂躙した兵器は、1000年経った今では遺産兵器と呼称されていた。
1000年間、必死に人々が復興に尽力する中、
遺産兵器を使って略奪を繰り返す横着な者たちも少なからず存在していたのである。
『嬢ちゃん、ずいぶん探したぜェ』
「なんで私を狙うの!?あなた一体何者なの?!」
『ひゃはははは!俺のこたぁどうでもいいんだよ!
ある人物が、オメェに会いたがってンのさ…!!
おとなしく捕まりなッ!!』
「きゃああああ!」
遺産兵器の腕が迫り、
エリィは悲鳴を上げる。
「はいそうですかってなわけに、
行くかよッ!!!!!!」
咄嗟に志狼は雷のマイトを練り混み、弾丸を作り出すと、遺産兵器の手に向かって放った。
ドガアアア!!
『ック!野郎ッ!!』
「学校まで走るぞ!エリィ!!」
「え…!?はっハイッ!」
志狼の放った電撃は、遺産兵器の手で爆発を起こした。
盗賊が怯んだその隙に、
エリィの手を取って学校めがけて走り出す。
志狼の電撃が起こした爆発は見た目は派手だったが、
遺産兵器の腕にはかすり傷程度しか傷がついていなかった。決して志狼の電撃が弱かったわけではない。
腐っても遺産兵器は遺産兵器なのである。
この男が乗っている遺産兵器は、ずんぐりむっくりで、やや前傾姿勢な図体。
三本指の腕。
パッと見、『農作業をしている農家のおじさん』を思わせる、およそ戦闘用ではない遺産兵器だ。
だが盗賊の機体は右肩に6連ミサイルポッド、
左肩にはキャノン砲、
両腕にアームガトリングと、不必要なほどにカスタマイズされている。
爆発による傷の規模と、武装の数々を見て志狼は撤退した方がいいと判断した。
岬樹学園の校庭はとにかく広い。
この時間ならば、人もいないグランドがある。
そこに逃げ込んで、何とか対策を練らねば。
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