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(警察はあてにできない…!)
もちろん警察に遺産兵器など配備されているはずもない。
遺産兵器による犯罪は、まっとうに生きている人間にとって、抗いようのない絶望的な暴力だった。
「ごめんね…!巻き込んじゃって…!」
泣き出しそうな顔をして、エリィが必死に謝ってくる。
「気にすんな。…あれのせいで到着が遅れてたのか」
「うん…あいつが、しつこく私たちを追いかけてきて…
飛行機に乗って巻いたと思ったから、
お母さんとお父さんが学校に行ってらっしゃいって…自転車買って…くれて…!」
「…!!っく!」
エリィと志狼の脳裏に、最悪の情景が浮かぶ。
奴がエリィたちの足跡を追いかけてきたということは、もしや、既にエリィの両親は…。
エリィの目から涙がこぼれる。
泣きながらエリィは
「ごめんね…ごめんね…」
と、謝罪を繰り返した。
「…」
見かねた志狼は、そんなエリィの頭に手を伸ばして、半ば乱暴にグシャグシャと頭を撫でた。
「!?わわわわ!」
「くっ…ぶはははは!
髪グシャグシャだぜ?」
志狼がいきなり笑い出す。
エリィは泣くのも忘れて、むくれながら反論に出る。
「むぅぅ!シローのせいでしょう!?」
「ははは…わりィな。おめえがあんまりひでえ顔してたもんでよ。
つい、な!
…謝んなくていいぜ。こんなもんなんてことねえよ!」
「シロー…」
エリィの顔にわずかに笑顔が広がる。
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