勇者剣伝ヴォルライガー 第一話『騎士の勇者!!』

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勇者剣伝ヴォルライガー 第一話『騎士の勇者!!』

 強く波が押し寄せる絶壁の上の岬… その岬の中ほどに一本の樹齢1000年はあろうかという巨大な木が生えている。 その木の枝には、ちょこんと座り、楽しそうに話す二人の子供がいた。 「あのね、あのね!  『かのものせたけをしのぐ、てんおもつくかのようなつるぎもつ。  そのつるぎ、いかなるじゃあくをもきりさき、  いかなるものもきずつけることかなわぬ、むてきのつるぎなり。  かのものそのつるぎにてせかいをはめつよりすくわん。  かのものそのなをゆうしゃという。』  っておとうさんからいっつもきかされるの!  『くでん』っていうんだって!すごいでしょ~! 「お・・・おう!なんかわかんないけどすごいな!」 「な~んだ、わかんないの?!」 「なんだよう、じゃあ おまえわかんのかよう」 「え、あ、う・・・」 「な~んだ、わかんないんじゃんか。」 「えへへ…あたしもわかんない!」 「ぷっ、あはははははは!」 「えへへへへへへへ」 心の底から楽しそうに笑う少年。 屈託のない笑顔で笑う少女。 二人はとても楽しく会話をしていた。 いつまでも続くかと思われるような時が流れる。 …と、突然そのゆったりとした刻が終わる。本当に突然だった。 少女の座っていたあたりの枝が、バキッという音とともに折れた。 少女の体が重力の法則に従って落下してゆく。 少年の目にはそれらの出来事が全てスローモーションのように映った。 少女は何が起きたか理解できない表情で。少年は驚愕の表情で。 いつもは自分だけが木に登って、下からあいつがうらやましそうにそれを見て。 今日、初めてあいつといっしょに木から海を眺めた。 ああ、こんなに高く登ってくるんじゃなかった。 自分たちはかなりの高さを登ってきた。 親にはあまり高くは登るなといわれていた。 ああ、やっぱりこんな所まで登るんじゃなかった。 少年は必死に手を伸ばすが、その手はむなしく空を切る。 必死で手を伸ばすが、届かない。 少年は必死の思いで少女の名前を呼ぶ。 すると少女は… 笑いながら…
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