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「ココロ様、ご無事ですか」
「…アルか」
砕けた鎧を身に付けた、狐の妖魔が姿を現した。
「コロシアムの方はどうした。あちらを見ていろと命じたはずだが」
「あのヴォルペガサスという鎧は、既に飛び立ちました故、先ずはココロ様の無事を確認しようと思い、馳せ参じました次第」
「ケガなどするかっ!あいつ相手に!」
「む」
口元に符を貼り付けられ、押し黙るアルフォクスだったが、直後流れ込んでくる水のマイトが、彼の傷を癒していく。
「これは…あの半妖の少女の術ですね」
「…」
ココロは答えない。
「なるほど。これは…我らの完全敗北ですな」
ギロリと、アルフォクスを睨みつけるココロ。
「報告するのが少々怖ろしいのですが、一応」
「言ってみろ」
「ここまで敵の侵攻を受けながら、我らには死者は一人たりとも出ていません」
「!!…な、あ」
「言うまでもなく、被害は甚大ですが」
倒壊した建造物や、撃墜されたイヴィルイレイザーの数、猛黒牙や黒龍の大破。
コロシアムや周囲の損壊は、目も当てられない。
しかし、そこまで破壊しておいてなお、死者はゼロ。
「…っ、はぁ…!」
確かに、完全にしてやられている。呆れ混じりに、ココロは肩を落とした。
『聞こえているか、ココロ。アルフォクス』
「!」
「カイン、様」
突然の念話に、両者ともに肩を跳ね上げた。
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