『第十四話 魔を討つ、聖風のマイト』

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『全軍に通達しろ。城門前に集結せよ、と』 「…、決着をつけるおつもり、ですね」 『そうだ』 「…!」 ブレイブナイツとの決着。 果たしてそれが成された結果、一体何がどうなるだろうか。 (…何を失う事になるのだろか) どう事態が転がったとしても、自分は何かを失う。 そんな漠然とした、しかし確信が、ココロにはあった。 「…はい。かしこまりました」 頷き、そのまま俯くココロ。 アルフォクスは、そんな彼女の表情が、痛々しくて見ていられなかった。 剣魔のナンバー2などではなく、1人の少女としての表情。 少なくとも、彼女と行動を共にするようになってから、初めて目にする表情だ。 (…変わられましたな) この半年の間に、彼らと出会ってから。 彼女の立場を守るためだけに、背中を躊躇いなく差し出した侍の少年。 本気でぶつかり合いながらも、奇妙な繋がりを持った、半妖の少女。 そして、カインの魂の片割れにして、不殺を貫き通した、騎士の少年と、 敵である自分の怪我を気遣い、奇跡の逆転劇を生み出した、あの少女。 『ここで、ケリを…つける…!』 「!…カイン様?」 念話越しのカインの様子が、何か少しおかしい。 アルフォクスは、カインの微妙な違和感を感じつつ、集結の指示を、全軍に出すのだった。 『そう、ここで…終わらせる…』 決着の刻が、迫っていた。
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