『第十五話 剣の継承』

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拳火、陸丸、水衣がそれに気付く。 徐々に徐々に、空を、大地を、イヴィルイレイザーが埋め尽くしていく。 「さっさと離脱するぞ。このままでは包囲される」 「は、はい!」 『…いや、ブリット。待て。様子がおかしい』 「何…?」 編隊が綺麗すぎる。 それに、進軍も遅い。 「…確かに、追撃のための布陣ではないな」 ウォルフルシファーに同意するも、ブリットには、それが意味するところが分からない。 一体何をしようと言うのか。 ズシンッ 「!」 聞き覚えのある足音が、ブレイブナイツの耳に届く。 味方であればこれ以上心強いものは無く、 ズシンッ 敵であれば、これ以上の脅威は無い、雷の獅子。 …否。 「…出やがったな…!」 「ヴォルガイアー…!」 悠々と歩み迫る、漆黒の魔獣。 水衣は鈴をギアアークの近くに下ろし、拳火と背中合わせに構える。 「…心」 陸丸は、構えを解き、槍を下ろした。 ヴォルガイアーの後ろに控えるのは、幾度か刃を交えた忍びをイメージさせる、ココロ専用機、影蝙蝠。 「何で来ちゃうのよ…あのバカ!」 鈴は影蝙蝠を睨み付けて、悪態をついた。 わざわざ回復してやったのは、戦わせるためなんかじゃないのに。 「…あれ?」 そして気付く。 ヴォルガイアーの後ろに、静かに佇む影蝙蝠からは、敵意が感じられない。 (どういうつもりだ、あんにゃろー…!) 陣形といい、ココロの態度といい、何かが不自然だ。 不可解な妖魔の行動に、ブレイブナイツは緊張度合いを高める。
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