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拳火、陸丸、水衣がそれに気付く。
徐々に徐々に、空を、大地を、イヴィルイレイザーが埋め尽くしていく。
「さっさと離脱するぞ。このままでは包囲される」
「は、はい!」
『…いや、ブリット。待て。様子がおかしい』
「何…?」
編隊が綺麗すぎる。
それに、進軍も遅い。
「…確かに、追撃のための布陣ではないな」
ウォルフルシファーに同意するも、ブリットには、それが意味するところが分からない。
一体何をしようと言うのか。
ズシンッ
「!」
聞き覚えのある足音が、ブレイブナイツの耳に届く。
味方であればこれ以上心強いものは無く、
ズシンッ
敵であれば、これ以上の脅威は無い、雷の獅子。
…否。
「…出やがったな…!」
「ヴォルガイアー…!」
悠々と歩み迫る、漆黒の魔獣。
水衣は鈴をギアアークの近くに下ろし、拳火と背中合わせに構える。
「…心」
陸丸は、構えを解き、槍を下ろした。
ヴォルガイアーの後ろに控えるのは、幾度か刃を交えた忍びをイメージさせる、ココロ専用機、影蝙蝠。
「何で来ちゃうのよ…あのバカ!」
鈴は影蝙蝠を睨み付けて、悪態をついた。
わざわざ回復してやったのは、戦わせるためなんかじゃないのに。
「…あれ?」
そして気付く。
ヴォルガイアーの後ろに、静かに佇む影蝙蝠からは、敵意が感じられない。
(どういうつもりだ、あんにゃろー…!)
陣形といい、ココロの態度といい、何かが不自然だ。
不可解な妖魔の行動に、ブレイブナイツは緊張度合いを高める。
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