『第十五話 剣の継承』

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「…そこまで覚悟が固ければ…、最早俺が口を差し挟む余地はあるまい」 「ケリ、つけてくっからよ」 「…頼む」 開放した手を拳に変えて、ウォルフルシファーとヴォルペガサスはそれを打ち合わせる。 「頑張ってください、としか、私には言えません」 「十分だ。他の連中の手当てを頼むぜ」 「はい…!」 『武運を祈る。ヴォルペガサス』 『ああ。任せてくれ』 声援を送るユマとウォルフルシファーに、志狼とヴォルペガサスは強く頷いた。 歩みを進めるヴォルペガサスの左右に、紅麗と蒼月が立つ。 「決めて来い。志狼」 『…何を、とは言うまい…。頼む』 「ああ」 『分かっている』 両機は同じく、差し出した右拳同士を打ち合わせる。 「…信じてるわ」 『カッコよく決めて来てよ』 「カッコ悪くてもいい」 『泥を啜っても、勝ってみせるさ』 ヴォルペガサスと蒼月は、ぺガスキャリバーの柄尻と拳を合わせる。 「何で…私…肝心なトコで…!」 震える身体を起こそうとするエリィだったが、身体はまるで他人のもののように、全く言うことを聞かない。 「ゴメ…」 「謝るなよ」 苦笑いして、志狼はエリィの謝罪を遮った。 『先程の術の発動の際に、有り余るマイトを一部蓄えておいた。有り難く使わせて貰うぞ』 「ペガサスさん…」 合体の維持やペガスキャリバーの生成に、それらを宛がっているのだろう。 どういう形にしろ、共に戦っている、と、暗に2人はそう言っていた。 「話しは済んだか」 「ああ、待たせたな、大将」 ペガスキャリバーを一振りし、前進するヴォルペガサス。 ヴォルガイアーも、ガイアーブレードを抜き放ち、更に前へと進み出る。
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