『第十五話 剣の継承』

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(同モーションで攻撃を仕掛けながら、攻撃は互角…!つまり、反応速度は志狼が、ヴォルペガサスが最早上!) 相手の攻撃を見切り、同じ態勢から攻撃を仕掛け、最大作用点を制圧している今現在、後の先を極めているのは、間違いなく志狼だ。 「そろそろ…超える!」 カインの剣の、速さを。 「疾ッ風ゥ刃ッ!!」 ザシュウッ!! ヴォルガイアーの脇腹を、ぺガスキャリバーが斬り裂く。 「…ッ!!」 カインは信じられないものを見るように、腹に手を当てる。 (…剣撃の出掛りを潰された!) 剣を振り上げ、斬りかかった瞬間に脇腹を斬られた。 ライガーブレードを超える、凄まじい切れ味。 雷鳴刃を更に超える、凄まじい速度。 「どうだッ!乗り手は2流だが、鎧が超一級でいい勝負になっただろうがッ!!」 「…」 2流などではない。 あの眼は、信じられない事だが、完全にこちらの動きを見切っている。 後の先を取ることに関しては、最早間違いなく、達人…マスタークラスの実力を発揮している。 「死に瀕して…更に感度を増したか」 『お前との戦いも、コレで3度目…。志狼は、完全にお前の剣を見切っている』 「やめろよ、ハードル上げるの」 志狼は苦笑いした。 ぺガスキャリバーを一振りし、構え直すヴォルペガサス。 「こっちはこれでも、必死なんだぜ」 ギラつく視線を、目の前のヴォルガイアーに集中する志狼。 並大抵の集中力ではない。 先ほどまで全方位に向けていたその視線を、一点に集中することで、 志狼はヴォルガイアーの一挙手一投足を一瞬たりとも見逃さず、その攻撃の出がかりを尽く潰して見せていた。 「俺も…陸丸も…、ついぞ達する事のできなかった、カウンターの極意『重ね』」 「…『重ね』?」 「攻撃を仕掛けた者は、尽く斬り捨てられる達人剣」 「…!それを、俺が…?!」 「ふん。だが、いい気になるな。攻略法が無いわけではない」 『何…!?』 ヴォルガイアーが、ガイアーブレードを正眼に構える。 「!!」 ブリットは身を硬くする。 「あれは…!」 「…カインの必殺技」 「キング・レオ・ブレイク…!!」 拳火、水衣、陸丸はゾクリと背中に冷たい物が走る。 ヴォルライガーの堅牢な装甲が、粉々に砕かれ、志狼が敗北を喫したのは、まだ記憶に新しい。 「小手先の技など寄せ付けぬ、圧倒的なパワーで、一瞬の内に粉々に砕いてくれる…ッ!」 「…」 柄尻近くを握る左手を、臍の前に。 右手を、柄上部に軽く添え、左足を引き、爪先立ちに。 「…正眼か」 ブリットは、目を細めた。 志狼の構えは、剣術の最もスタンダードな構えだ。 「また、同じ構え」 ユマは、不安げに唇を結ぶ。 確かに激突からこれまでは、有利に戦いを進めてきた。 …が、あの技ばかりは敗北のイメージが強過ぎる。
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