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(同モーションで攻撃を仕掛けながら、攻撃は互角…!つまり、反応速度は志狼が、ヴォルペガサスが最早上!)
相手の攻撃を見切り、同じ態勢から攻撃を仕掛け、最大作用点を制圧している今現在、後の先を極めているのは、間違いなく志狼だ。
「そろそろ…超える!」
カインの剣の、速さを。
「疾ッ風ゥ刃ッ!!」
ザシュウッ!!
ヴォルガイアーの脇腹を、ぺガスキャリバーが斬り裂く。
「…ッ!!」
カインは信じられないものを見るように、腹に手を当てる。
(…剣撃の出掛りを潰された!)
剣を振り上げ、斬りかかった瞬間に脇腹を斬られた。
ライガーブレードを超える、凄まじい切れ味。
雷鳴刃を更に超える、凄まじい速度。
「どうだッ!乗り手は2流だが、鎧が超一級でいい勝負になっただろうがッ!!」
「…」
2流などではない。
あの眼は、信じられない事だが、完全にこちらの動きを見切っている。
後の先を取ることに関しては、最早間違いなく、達人…マスタークラスの実力を発揮している。
「死に瀕して…更に感度を増したか」
『お前との戦いも、コレで3度目…。志狼は、完全にお前の剣を見切っている』
「やめろよ、ハードル上げるの」
志狼は苦笑いした。
ぺガスキャリバーを一振りし、構え直すヴォルペガサス。
「こっちはこれでも、必死なんだぜ」
ギラつく視線を、目の前のヴォルガイアーに集中する志狼。
並大抵の集中力ではない。
先ほどまで全方位に向けていたその視線を、一点に集中することで、
志狼はヴォルガイアーの一挙手一投足を一瞬たりとも見逃さず、その攻撃の出がかりを尽く潰して見せていた。
「俺も…陸丸も…、ついぞ達する事のできなかった、カウンターの極意『重ね』」
「…『重ね』?」
「攻撃を仕掛けた者は、尽く斬り捨てられる達人剣」
「…!それを、俺が…?!」
「ふん。だが、いい気になるな。攻略法が無いわけではない」
『何…!?』
ヴォルガイアーが、ガイアーブレードを正眼に構える。
「!!」
ブリットは身を硬くする。
「あれは…!」
「…カインの必殺技」
「キング・レオ・ブレイク…!!」
拳火、水衣、陸丸はゾクリと背中に冷たい物が走る。
ヴォルライガーの堅牢な装甲が、粉々に砕かれ、志狼が敗北を喫したのは、まだ記憶に新しい。
「小手先の技など寄せ付けぬ、圧倒的なパワーで、一瞬の内に粉々に砕いてくれる…ッ!」
「…」
柄尻近くを握る左手を、臍の前に。
右手を、柄上部に軽く添え、左足を引き、爪先立ちに。
「…正眼か」
ブリットは、目を細めた。
志狼の構えは、剣術の最もスタンダードな構えだ。
「また、同じ構え」
ユマは、不安げに唇を結ぶ。
確かに激突からこれまでは、有利に戦いを進めてきた。
…が、あの技ばかりは敗北のイメージが強過ぎる。
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