『第十五話 剣の継承』

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シロー。 あとちょっとだよ。 …がんばって。 「ッ!!」 耳に届いた言葉に、志狼は意識を覚醒させ、右足を踏み出し、踏ん張る。 「そうだ…まだ…っ、まだ終わってねぇッ!」 『志狼っ!!』 そう。 何一つ、まだ終わっていない。 もうちょっとだ。 「あと一撃…ッ!あと一撃叩き込むんだッ!!」 『おぉうッ!』 「志狼兄ちゃん!頑張ってッ!」 『そうだッ!寝るにゃあまだまだ早いぜッ!!』 「よぉしッ!よぉしッッ!!それでいい!!それでこそッ!!」 『…頑張れ!!』 「頑張って…!!」 『負けるんじゃないわよッ!!』 「…立てっ!!」 「負けないでっ!!」 『もう一撃だ…っ!!』 「頑張って…っ!ここまで来たじゃないですか!!」 聞こえる。 (聞こえるぞ…!) 仲間の声が、頭に、心に響く。 志狼とヴォルペガサスの、光りが消えかけていた瞳に、強い、眩い、力強い光りが再び宿る。 膝を伸ばし、ぺガスキャリバーを大上段に掲げる。 ヴォルペガサスが、ありったけの風を剣に収束する。 「今度は…俺達の番だッ!!」 『行くぞ、カインッ!!我らの渾身の一撃…受けて貰おうッ!!』 「『ここで…決めるッ!!!』」 半身になり、剣先をヴォルガイアーに定め、深く腰を落とすヴォルペガサス。 御剣流剣術奥義。必殺の、轟雷斬の構え。
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