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「…面白い」
一度破られた技を敢行するからには、ただの同じ技ではないだろう。
カインは口の端を持ち上げ、ガイアーブレードを構える。
「何をするのか、見せてもらおうか…!つまらぬ技ならば、即座にその命を砕く!!」
「…上等だ、そんときゃ、命くれてやらぁッ!」
ヴォルガイアー…カインも、剣先をヴォルペガサスへ向け、殺気を撒き散らす。
それに呼応するかのように、志狼の闘志が、最高潮に高まっていく。
「…行くぜッ!」
「来いッ!」
「「真っ向勝負ッッ!!!」」
翼がはためき、ヴォルペガサスが矢の様に飛び出した。
(速い!)
轟雷斬よりも、明らかに速い。
(だがッ!)
スピードが速いだけならば、カインにとって脅威にならない。
志狼程ではないにしろ、カインも見切りに関しては達人級の目を持っている。
伊達に大戦時最強の剣士と謳われた訳ではない。
むしろ、スピードが速ければ速いほど、あの対轟雷斬用のカウンターは、威力を増大させる。
軌道が変りでもしない限り、志狼は再び、愛機の腕を飛ばす羽目になる。
しかし、変わらない。
未だ軌道は、轟雷斬と全く同じ。
「…ッ、その程度かぁッ!!!」
悪い意味で、予想外。
苛立ち、カインはガイアーブレードを、轟雷斬発動時に通過する右腕部に突き出した。
これで腕は飛ばされ、放っておいても志狼は野たれ死ぬ。
つまらない結末だった。
「…、!?」
しかし直後、ガイアーブレードは、空を切った。
手ごたえがまるで無い。
そして自分に差し掛かる黒い影に、視線を上へと向けた。
「…あ」
そこに、ヴォルペガサスは居た。
身の丈を超える大剣へと変貌を遂げた、聖剣ぺガスキャリバーを、大上段に構えて。
「ウィンドウィング、バージョン3…アタックフォルム」
エリィは、弱々しく、しかし不敵に笑った。
背面の翼が、神々しい巨大剣へと姿を変え、全てのその力を収束させていた。
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