『第十五話 剣の継承』

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「な…!?」 ユマは悲痛な表情で、口元を抑える。 「…」 僅かな間、ユマを睨み付けていたカインだったが、視線を外して溜息した。 「…どうやら何も知らないらしいな…」 「え?」 呟きの意図は読めなかったが、対するカインは、真摯な目をユマに向けた。 「…ブリットを頼む。彼が実力の全てを発揮出来るか否かは…君に掛かっている」 「!は…はい」 今度は、彼が言わんとしている事が、理解出来た。 彼女自身も、課題としていた事柄だからだ。 「…お前達は、三匹目の龍を、早々に目覚めさせることだ」 「「!」」 拳火と水衣は、カインの口から語られた事実に、驚きを隠せない。 「…やはり聞かれていなかったか…。無理もない…。 紫龍を扱うお前達なら分かるだろうが、恐らくは鎧一乗り手に危険が降り掛かる代物だからな…」 「じゃあ、紅麗が何時まで経っても、何も教えてくれないのは、やっぱり…」 確信を持った拳火に、カインは頷く。 「察してやってくれ…。全てはお前達を思っての事だ。 あれはペガサスの前身になった機体でな…。同様にオペレーターが必要なのだが…、扱いが難しく、並みの人間、普通の術者には乗りこなせない…」 「そんな…!」 「心配するな…、素養を持ち、適応しうる術者が、この場には2人もいる」 「!2人…!?」 「っ?」 突如として向けられた視線に、鈴は困惑した。 その視線が、先程まで殺気を撒き散らしていた人物とは思えない程に優しくて、更に困惑する。 ああ、これがココロが心酔するカインの本性であり、志狼と同じ魂を持つ者なのだな、と理解した。 「ココロを宜しく頼む…。普段は切れ者なのだが、君も知っての通り、時折とんでもないムチャをしでかすのでね」 「…」 プイ、とそっぽを向く鈴だったが、僅かに、彼女は頷いた。 バキンッ! 「ッ!」 今度はカインの、左足が砕け散った。
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