『第十五話 剣の継承』

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(こいつ…ひょっとして…!) 志狼は、砕けたカインの足元を見て、息を呑んだ。 執念が体を支えていた、と、カインは言った。 ならば今、体が砕けてきているのは、彼がその執念から、少しずつ解放されているからなのか。 「猛黒牙…陸丸の動きから…、何か得られたかな?」 「!あ…」 陸丸は、カインの問に、俯き、首を横に振った。 「ふ…、そうか。御剣志狼が奴のモーションを見ていれば、参考に出来たかも知れなかったが」 「…エリィが遠距離から、速攻で倒しちまったからな」 「くく…あれは見物だったな…」 何故、自分が消滅しかかっているというのに、笑えるのか。 陸丸には、全く理解できなかった。 「焦るな…。猛黒牙を相手に、たいした負傷もしていないということは…、かなりの実力がついてきている…ということだ…」 「…あ」 「君とココロが初めて出会った場所…。あそこに行けば、何かが掴めるかもしれないな…」 「京都…!古流槍術の道場!」 そうだ。 同じ流れを汲み、鋼牙が封印されていたあの道場ならば、家に伝わっていない何かまで分かるかもしれない。 「…強くあれ、陸丸君…。君が2人を守るんだ…」 「!…はい!」 普段であれば、間違いなく照れて、慌てて首を横に振っていただろう。 しかし、陸丸は素直に頷いた。 恐らくはこれが彼の、最期の言葉になるであろう、と、悟っていたから。 カシャンッ カインの左腕が、砕けて消える。
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