『第十五話 剣の継承』

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「…御剣、志狼」 「何だ」 カインに呼ばれ、志狼はブリットと代わり、傍らに片膝を付いた。 「エリィを守れ…。何があっても…!…決して死なせるな…!」 「分かってンよ。俺はテメェじゃねぇんだ…そんなヘマするか」 「言ってくれるじゃねぇか」 苦笑いを浮かべるカインに、志狼は複雑な表情で笑った。 この男は、紛れも無く、ありえる未来の自分だ、と。 エリィを守りきれなかった時。 守るべき人間に、後ろから撃たれた時。 怒りに駆られて、手にした強大な力を…振るわずにいられるだろうか。 『安心して眠れ。志狼には、私が付いている』 「!ヴォル、ネス…」 そう。 そうだった。 (そうだ…。俺には…ヴォルネスがついてる) 大丈夫。 自分が暴走しそうになったら、彼が絶対に止めてくれる。 「…そうか。なら、安心だな…。頼むぞ、ネス…」 『…ああ』 カインも安心したように、何かを懐かしむように、目を瞑って笑った。 「最期に…ひとつだけ」 「?おわっ!?」 どこにそんな力が残っていたのか、カインは、右手で志狼の胸倉を掴んで引き寄せた。 「な、なんだ!?」 「…」 そして他に聞こえない声で、志狼に何かを伝えた。 「…!」 何を言われたのか、志狼が目を剥く。 それとほぼ同時に、カインの右手が、砕けて消える。 「…時間だ」 胸から首に掛けてが、砕け散る。
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