『第十五話 剣の継承』

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…どれほど時間が経ったのか。 マリアとココロの啜り泣きが聞こえなくなってから、暫くして。 「…」 マリアが、スックと立ち上がった。 「…さてと、みんな帰ろっ」 「…エリィ」 立ち振る舞いや、瞳の色からそれを察する志狼。 「…マリアさんは?」 「眠った。深く深~く、ね」 「…そうか」 恐らくは、二度と目覚めることのない眠り。 願わくば、カインと共に、安からに眠って欲しい。 志狼は心からそう願っていた。 「で…どうするんだ、お前達はこれから」 俯いたままのココロに、志狼は尋ねた。 「兄ちゃん…今は」 そっとしておいてあげて欲しい。 庇うように間に入る陸丸の肩に手を置き、志狼は首を横に振った。 「こいつらの生死に関わる問題だ。曖昧なままには出来ない。」 「…志狼兄ちゃん」 「確かに。あれだけ派手に打倒大魔王を謳っては、妖魔勢のなかでも、立場は最悪…、ただでは済むまい」 「そんな…!」 ブリットの言葉に、陸丸は周囲のイヴィルイレイザーを見た。 皆一様に、動きを見せない。もはや覚悟を決めているのだろうか。 どうやらこちらと戦う意志はもう無いようだが、大魔王勢と事を構えようにも、頭が不在では、結果は火を見るより明らかである。 あのメデュー辺りに、粛正されるのがオチだろう。 「確かに、ここまでしておいて皆殺しにされても、後味悪いわね」 「…水衣姉、ハッキリ言い過ぎ」 水衣のリアル過ぎる言い回しに、鈴は半眼になった。 だがこのまま放っておけば、近い未来、それが現実にならないとも限らない。 志狼は、改めてココロに問う。 「どうする?お前達は今後」 「…我らの今後は、既に決まっております」 「あ?」 泣きはらした直後とは思えないほど凛とした声で、ココロは言った。 ザッ そして志狼の目の前で傅く。 ココロだけではない。 周囲のイヴィルイレイザーや妖魔が、一斉に膝を付いた。 「我らは、新たな剣魔王に従い、戦い抜きます」 「…はぁ?」 何を言われたのか分からない、と、志狼は素っ頓狂な声を出した。 「新しい…剣魔王…!?」 エリィが志狼を指差して、恐る恐る確認する。 61ef4d85-cabf-4cd7-85cd-3467a44e2960 「シローが!?」
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